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HAYAMA
こども博物館
プロジェクト

  第一回目のプロジェクトという事で、子ども達の「スキをカタチにする」というKid Learning Labのコンセプトをそのまま目的とした、創作プロジェクト“HAYAMAこども博物館“を葉山で開催しました。

以下5つのステップでプロジェクトは進みました。

 

以下に開催までの道のり、こども達の取り組みの様子をレポートします。

①自分たちで空間をつくる

(チーム力でつくる)

②ドームのまわりを探検する

(好奇心探究心のフタをあける)

③展示物の制作・収集

(それぞれでつくる) 

④博物館をつくる

(ともにつくる) 

⑤ドームの解体

 (みんなで終わりを楽しむ) 

以下に開催までの道のり、こども達の取り組みの様子をレポートします。

STEP1 自分たちで空間をつくる(チーム力でつくる

2022年5月5日

段ボールでつくる“DAN DAN DOME“。

(南極地域観測隊員の局地建築家、村上祐資さんと東洋製罐グループのコラボレーションから生まれた“組立式段ボールテント“です。)

 コアメンバーである小学校低学年の5名を高学生と中学生がサポート。その周りを大学生含む大人達が支えていくという体制で制作がスタートしました。設計図は用意されていますが、“マニュアルどおりに正しくつくる”という作り方を推奨していないDAN DAN DOME。詳しい作り方がわざと書かれていませんでした。そのため、最初から全員で頭を悩ませました。また、一人では制作できない作りになっているので“チームでつくること“が必要となります。

 

全員一緒に悩む、力を合わせるという体験が結束力につながりました。誰も作り方(答え)を持っていないので、「こうしよう」「こうすればいいのではないか」「この部分の作業をやりたい」意見が自然と出てきました。また、作業・役割が多岐にわたるので段ボールを運ぶ、設計図を読み解く、出たゴミを拾うなど、それぞれの得意や好き強みが自然と作業・役割に結びついていきました。

​制作スタートから7時間。高さ3mの自分達の空間がようやく完成しました。それぞれの力を合わせ、チームでひとつの大きな空間をつくりあげる事ができました。

​STEP2  ドームのまわりを探検する(好奇心・探究心のフタをあける)

2022年6月5日

 それぞれが持っている「気になる」もの。この“自分”の「気になる」の発見を通して、博物館づくりにつながる好奇心や探究心のフタをみんなで開けたいと思いました。そこで好奇心のタネを育てる場をつくるジェネレーター集団“ぐるぐる探究隊“の代表である高秀章子さんと一緒に、Feel度Walk(フィールドウォーク)という方法で、DAN DAN DOMEのまわりを探検することにしました。

※Feel度Walkとは、一般社団法人みつかる・わかる代表理事市川力さんが考案した、身の回りのモノ・コトを面白がる歩き方。歩くことで感じ取る力(感度)が高まり、好奇心のフタが開いていくという方法です。

 カメラで気になるものを撮影、拾い集められるものは袋に入れて持ち帰りました。道端に咲く花、土の中にあいた穴、地面に書かれた謎の数字、トビの羽。他の人の目を気にせず、それぞれがそれぞれの気になるものを撮影・集めました。お散歩から戻り、模造紙に集めたものを描き、気になったものやことをアウトプット。描くのではなく、同伴してくれた保護者の頭に葉をつけて集めたものを表現する子も。絵は描かないよ、という子もいましたが、日頃からつくっている図鑑を見せてくれたり、博物館で展示するものを決めているということを教えてくれたりしました。子ども達の最初から全開の好奇心・探究心にふれ、それぞれの感性をこちら(大人)が教えてもらうという日にもなりました。

​STEP3 展示物の制作・収集(それぞれ好きを形にする) 

2022年6月19日〜7月8日

 博物館に展示したいものをつくる、制作・収集の日がスタートしました。形がないもの、決められていないものをつくる事は楽しさはありますが想像以上に大変なことで、子ども達のほとんどが最初は何をしたらよいのか分からないという様子でした。

 

 しかし、展示したいものを決めていた一人が制作を始める様子をみて、みんながそれぞれのペースで動き始めました。発想からアウトプットが同時の子、他のメンバーがつくる様子をみてつくり始める子、自宅でじっくりと考える子。みんなそれぞれの決め方とアウトプットでした。

 

 ただ、全てのメンバーに共通していたことは、みんな“自分“がつくりたいものをつくりたい!という気持ちが大きかったこと。つくり方をどうしたらいいんだろうと考えている様子のメンバーにこんなアイデアとかは?とこちらも真剣に提案しますが、“いや!それよりこちらの方が絶対いいや!“と、自分のアイデアを絞って出していました。みんな“自分”の頭の中にそれぞれの世界があって“自分”でそれを形にしていきたい、創造力は子ども達の中にもともとあるものだと感じる場面が多くありました。

 STEP4 博物館をつくる(ともにつくる) 

2022年7月8日

 それぞれの制作が終了、次はみんなで展示をして博物館をつくります。当初は展示する台として家や屋外で使うテーブルを使おうかと思っていましたが、「使っているテーブルを外に出すのも大変だから段ボールで台をつくろう!」というアイデアがメンバーの一人から飛び出しました。段ボールに白の模造紙を貼る私(大人)の案が採用され、自作した台を使う事になりました。

 段ボールは同じ形でないので、メンバーそれぞれが好きな形の台を選びました。選んだ台に絵を描いたり、文字を書いたりと好きなやり方で展示台をつくりました。「入口と出口も必要だよね」という声も出て、一人のメンバーがその場にあったコルク板と画びょうであっという間に入口出口をつくりました。

2022年7月16日

 それぞれのつくった展示物が集結。ひとりひとりの頭にあった世界が飛び出し、壮大で自由な迫力ある一つの空間が出来上がりました。

​2022年7月17日

 雨が時々降る天気となりましたが、20人以上の来場者が来てくれました。たくさんの“すごいね!”の声、おもしろかった、の声を聞く事ができました。​この日はHAYAMA博物館プロジェクトから派生した“こども祭り“(プロジェクト2で紹介)も開催。子ども達でつくった子ども達の世界が広がりました。

STEP 5 DAN DAN DOME 解体 (みんなで終わりを楽しむ)

2022年9月23日

 子ども達がつくり、思いっきり楽しんだDAN DNA DOME。この日お別れの時を迎えました。

 

 壊し方が自由なDAN DNA DOME。子ども達は制約のないダイナミックな“お別れ“を楽しみました。前日の暴風雨のため、形は残しつつも一部崩れ落ちたDAN DNA DOME。始まりの合図の前にDAN DAN DOMEに突進、壊し始めます。

 

こわす、こわす、こわす、こわす!

 

「これめちゃくちゃ楽しい!!」壊すをおもいっきり楽しんでいました。なくなっていくプロセスも最後までを夢中で楽しむ子ども達。最後、保護者の力を借りてDAN DAN DOMEは分別、リサイクルゴミとして収集されていきました。

最後に

 5ヶ月におよんだHAYAMA博物館プロジェクト。最初は「おもしろそうだけど、つくれるの?」と半信半疑の子ども達でしたが、それぞれの展示物を制作。みんなで一つの大きな博物館をつくりました。

 5ヶ月の間、不安、退屈、よく分からない、様々な感情があったこともうかがえました。ただ、形が見えてくると、面白いこと・ワクワクすることがあるんじゃないかという期待の膨らみもあり、勢いや表情が変わってきた事が印象的でした。

 子ども達は好きも創造力も持っている。今後もそれを形にできる場を考えていきたいと思います。

以上、キッズラーニング企画、第一回目HAYAMA博物館プロジェクトのレポートとなります。

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